ほんのりへそ曲がり

「アイドルは楽曲だ」という信条のもと、楽曲を中心にV6と関ジャニ∞を語る

3月10日 土曜日

2012年の3月10日、その日は土曜日だった。

東日本大震災から1年、の1日前。

私は坂本さん主演のミュージカル『マイワン・アンド・オンリー』を観に行っていた。

いわゆる「ボーイ・ミーツ・ガール」の、明るいハッピーなラブストーリーだ。

「泣ける」要素など一つもない。

が、ラストシーン、主人公とヒロインのこの上なく幸せな結婚式のシーンで、突然涙が出て来た。

続く華やかなカーテンコールの間も、涙は次から次へとあふれ出し、止まらなかった。

嗚咽が漏れないように口を手でふさぎ、拍手をすることも出来ず、私は文字通り“号泣”していた。

去年の今頃の、不安で不安でたまらなかった気持ち、そして今、大好きな役者の舞台を観ていられる幸せ。

去年図らずも命を落とした人の中にも、今日のこの舞台を観に来たかった人がいたかも知れない、あるいはこの舞台に立ちたかった人がいたかも知れない、という思い。

そして、目の前で精一杯歌い踊っているキャストたちの歌や踊りが、まるで天に捧げられているかのように見えて。

いろいろな感情がないまぜになって、それが涙になってあふれ出したようだった。

何度が繰り返されたカーテンコール中、私はずっと泣き続けていた。

今思うとあれは、私1人の感情ではなかったんじゃないか、という気がする。

私と同じような“思い”の人が、客席に、そして舞台にもいたのだろう。

そのいくつもの思いが共鳴して大きな波動になって、私を泣かせたんだと思う。

あるいは。

天井の高い閉じた空間というのは、霊魂が集まりやすい場所なのだそうだ。劇場などはその最たるものだろう。

この舞台を観たかった「誰か」が、私に憑依したのかも知れない(私には霊感というものは一切ないが)。

いずれにしても、舞台という「生」の場だからこそ起こる、不思議な現象だったのではないか。

多分同じように大きく感情を揺さぶられた人が、私以外にもあの場にいたんじゃないか、と思っている。

3/11の今日、様々な場所で、音楽や踊り、そして祈りや思いが、天に向かって捧げられただろう。

忘れないよ。

そして、“思い”は今も、私たちと一緒に生きているよ。

と。