『二十日鼠と人間』感想(ネタばれあり)
健ちゃんがカーテンコールでお辞儀をするたびに、ぺらっとめくれるストレートの後ろ髪(ちょっとプリン気味)が可愛かった…。
じゃなくて。
健演じるジョージは、どこででも騒ぎを起こす「お荷物」な相棒・レニーがいなくて一人なら、どんなに楽な生活が送れるかと時折苛立ちを爆発させる。
それでもそのレニーと離れられないのは、夢を語る相手が必要だから。結局一人では寂しいから。
…というところまでは表現できているんだけど。
この物語が語っているのは多分、もっと深い、“人間の孤独”とか、“生きるとはどういうことか”といったことを、描いてると思うんだ。
惜しいかな、健の表現はそこまでたどり着いていない。
ジョージ、寂しいんだよね。
そして相棒のレニーを自ら手にかけなきゃいけなくなって、かわいそうだね…で終わってしまうのよ…。
残念。
ただ、今までなら、健の方が“庇われる”役(この作品ではレニーのような)になったんだろうけど、“庇う”側の役が来るようになったんだなと。大人の立場の役が来るようになったね。
そこを表現できるように、精進、ですね。
(『六本木歌舞伎』チケット取れました。来年だけど、楽しみ(^^))
それにしてもこの芝居のタイトル、なんで『二十日鼠と人間』なんだろう、と、観た後で改めて考えてみた。
一週間ひたすら仕事して、それで稼いだお金を休日にただ遊んで使う。そしてまた仕事に向かう、その繰り返し。
そこが「二十日鼠」なんだろうか。何も考えず、ただひたすらに走り回って生きるだけ。
「俺たちは違う」と言うジョージとレニーは、お金を貯めて自分たちの農場を買う、という夢がある。
日々その目標のために働いて、稼ぐ。
それが人間、なのではないかと。
でも彼らが言うように「大地の恵みだけで暮らし」ているのは、実のところ、鼠の方なんだよねえ…。
うーん。
いろいろ考えられさせる作品でした。