『“HAPPY” Coming Century,20th Century forever』 ~大人V6への輝かしい第一歩。初期の名盤。【 2000年以降のアルバムを振り返る・その2】
(記事タイトルをフルで書くとすごく長いことに今気づいたがもう直せない)
まずは『“HAPPY” Coming Century,20th Century forever』。
2000年8月9日発売。
曲順
- 羽根 ~BIGINNING~
- Don't Stop The Refrain
- 野生の花(Over Drive Edit)
- 恋のメロディ
- MY DAYS(COCONUTS GROVE VERSION)
- SPEEDER'S HIGH [Coming Century]
- Listen
- Life goes on(crashed bone mix)
- MIRROR
- IN THE WIND(B.MAY Mix)
- SOYOIDE~BREEZIN'SOUL~
- Running to the top [20th Century]
- 太陽のあたる場所(FUNKY!!FREE!!version)
- 翼の設計図
デビュー5年目、全員が成人になる年、という節目に発売されたこのアルバムは、前作『“LUCKY” 20th Century,Coming Century to be continued…』までの“ジャニーズのテンプレートアルバム”から脱却*1した、一味違うアルバムになっている。
私がそう感じた根拠は、
1・「歌割」が明確に出現する
ジャニーズといえばユニゾン歌唱、です。
最近は結構「歌割」があるのが当たり前になってきましたが、このころはまだユニゾン歌唱がメインで、V6も前アルバムまでは、全員歌唱の歌は基本ユニゾンでした。
それがジャニーズではフツーだと思っていた私にとって、『Don't Stop The Refrain』は衝撃でした。
Aメロは完全ソロのラップ。
1番は剛、健それぞれ、2番は坂本、3番は岡田。
そしてBメロのメロディ歌唱部分は長野と井ノ原のユニゾン、と明確に歌割がされている。
今までソロパートがなかった訳ではないけれど、長いものは坂本井ノ原がメイン。他のメンバーはスパイス程度の短いものだった。
こんなに長いソロパートが全員に振られたのは、この楽曲が初めてでした。
A,Bのソロパートが長いと、サビのユニゾンの声のインパクトが強くなる。
サビで、
「Don't Stop The Refrain Coz We Wanna Groove, Come On!~」と来ると、
うおお、カッコいい!と高まります。当時も今も。
追いかけるような裏コーラスが入るのもクール。
こういう緩急がはっきりしている楽曲は、V6はもちろんジャニーズ全体でもあまり聞いたことがなかったので、「これは新しい!」と当時の私はコーフンしたものです。
この時の印象があまりにも強かったので、今でも「『Don't Stop The Refrain』歌ってよ~」と性懲りもなく言い続けているのです。
実際、アレンジも曲も今聞いても全く古さを感じないし、歌詞の内容も、今の彼らが歌ってもばっちりハマると思う。
どうでしょう、ひとつご検討いただけないでしょうか(全方位にいつもの要望)。
とにかく、アルバム2曲目で「新しい」V6を見せつけられ、これは今までとは違うぞ!という期待を持たせてくれた。
『“HAPPY”』はそんなアルバムだったのです。
2・単純に、歌が全員上達した
その『Don't Stop The Refrain』で、スパイス程度だったソロパートを、Aメロ全部くらい長く任されたのはなぜか。
答えは簡単、「歌(ラップ含め)が上手くなった」から。特にカミセン。
3rdシングル『BEAT YOUR HEART』聴くと、しみじみわかります。
つたない。ラップと呼ぶには、あまりにつたない。
公式があるので貼っておきます。
この時から比べると、『Don't Stop~』はどんだけラップらしくなっていることか。
カミセン曲『SPEEDER'S HIGH』も同様。
アレンジも、今までのカミセン曲に比べるとぐっと大人っぽくなっているし、歌っている本人たちの声も歌い方もそれに見合うものに成長している。
ちなみに、ここに挙げた
『Don't Stop The Refrain』、
『BEAT YOUR HEART』、
『SPEEDER'S HIGH』、
3曲ともmotsuさんの手によるものでした(『BEAT~』は作詞のみ)。
ほんとmotsuさんにはお世話になったなあ…。
V6初期に、ジャニーズ的には「新しい」楽曲を、たくさん提供していただきました。
今でもずっと「新しさを失わない」V6の、基盤を作ってくれたのではないかと思います。
本当に感謝に堪えません。
3・メジャーアーティストの、アルバム楽曲初提供
シングルでは玉置浩二さん、SING LIKE TALKING の佐藤竹善さんなどの曲提供がありましたが、アルバム曲ではこれが初。
『恋のメロディ』はサニーデイサービスの曽我部恵一さん、そして『翼の設計図』の藤井フミヤさん。
特に『翼の設計図』は『学校へ行こう!』のエンディング曲でもあったし、このアルバムのリード曲でもある。
それを藤井フミヤという大スターに提供してもらった、ということでひとつ拍が付いた、という印象を受けました。
さらに、『翼の設計図』が締めに入ることで、このアルバムは
『羽根』で始まり、『翼』で終わる。
という壮大な構成となったのです。
以上のような理由から、「『“HAPPY”』こそが“大人V6”へのターニングポイントだったのだ」という仮説をぶち上げてみました。
ここから、「V6」独自の世界観が、さらに練り上げられていくことになります。
次回は、翌年2001年に発売された『Volume6』について。
もしかしたらこれが、私がV6のアルバム中最も好きなアルバムかも知れないです。今のところ。
今現在、夏の歌番組では「ラストステージ」連発中。
あんまり言わないでよ。
まだ4ヶ月もあるのに、さびしくなるじゃないかあ。
*1:先の記事でも申しましたが、決して「出来が良くない」という意味ではありません。『LUCKY』には『Run and Run』というR&Bを採り入れた実験的な作品もあるし、『GREETING』には『コバルトブルー』という驚愕の名曲もありますし…。