ほんのりへそ曲がり

「アイドルは楽曲だ」という信条のもと、楽曲を中心にV6と関ジャニ∞を語る

『~此処から~』

さて。SUPER Very best もう一つの新曲、『~此処から~』。

20周年を記念してメンバー全員で詞を書き、イノが作曲した曲です。

メロディーはイノッチらしい(と思う)、全編ゆるやかなミディアムテンポ。歌詞は基本、自分で書いたものは自分で歌っています。

つまりは各人のソロパートが、歌っているその人の書いた詞、と判断していいわけです。

自分の気持ちは織り込みながらも、トニセン3人は「歌詞」であることを意識し、きちんと詞としてまとめている。

剛は彼らしい照れがちらりとのぞいて、なんとも微笑ましい。

そんな中で際立って率直で印象的だったのが、健と岡田2人の歌詞でした。

まずは健のパート。

「消えてしまう」「いなくならないで」「さよなら」・・・

アイドルグループが自分たちのことを歌う詞としてはほとんどタブーなんじゃないか、という言葉が並びます。

特に「さよなら」のくだりは驚いた。

それ今言っちゃう!?

健が持っていた、そして今でも持っているであろう危機感、焦燥感、寂しさがひしひしと感じられて、初聞きが朝の満員電車内だったにも関わらず、思わず落涙。

それでも健がこの詞を書けたこと、そしてこの率直な言葉を、歌詞をまとめたイノが選んでくれたこと、それが今のV6の状況を物語っていると思います。

これらはもう、彼らの中では「タブー」ではないんだろうな。

それは「さよなら」がないことを確信しているからか、それとも「さよなら」を既に正面から見据えているからか。

どちらかわかりませんけどね。

タイトル『~此処から~』もこの「さよなら」のくだりから取ってます。

語感から「ここからスタートだ」みたいなスタートラインを意識したタイトルだと思ったんですが、「此処=ホーム」を意識した部分もあったのだろうかと。

それから岡田。

冒頭の部分は「若気の至りの反省」的ニュアンスなんだけど、2番目、つまりこの歌最後のソロパートは・・・。

この詞を歌の締めに持って来るのはずるいよ、イノッチ。

何年経ってもなんかジャニーズの水になじまない子、それが岡田准一

そのなじまない感じが彼の魅力だったし、面白いところでもあったのだけれど、当の本人はそのなじまない場で泳いでいくのは、すごく大変だったと思う。

そのうち俳優として活躍できる場が出来て、まさに水を得た魚のように生き生きとしている彼を見るのはとてもうれしかった。俳優としての評価が高まっていくことも、誇らしかった。

と同時に、心配でもあった。

俳優として認められれば認められていくほど、岡田がV6の存在を枷に感じていくんじゃないか、と。

グループのファンにとって、メンバーがグループを重荷に感じているのでは、と思ってしまうのは結構しんどいものです。こっちが心配してもしかたがないことなんだけど。

でも今年2月の日本アカデミー賞、受賞の挨拶で、私のこれまでの心配はうそのように消え去りました。

岡田個人の晴れ舞台の場で「長年いっしょに仕事をしてきた仲間」として、V6のことに言及。

「仲間の一人から『誇りに思う』というメールが来ました。人に誇りに思ってもらうのは、本当に嬉しいです」。

今までいろいろあっただろうけど、岡田の中で“V6”という存在はを全肯定できるものになったんだ。

そう思い、一点のもやもやも心配もなく、100%彼を祝福できました。

そしてさらに、この歌の詞でダメ押しです。

訳もわからず連れて来られた末っ子の、5人のお兄ちゃんたちに捧げる大きな感謝の気持ち。

岡田はこの詞の中で、「感謝」という言葉を一つも言っていない。

でも岡田が書いた(であろう)詞は、メンバーに対する感謝の表明以外の何ものでもない。

特に2番目の詞は。

もう「よかったね」って言葉しか出て来ませんでした。

ここまで大きく育った末っ子も、それを見守ってきた5人のお兄ちゃんたちも、よかったね。

ついでにいろいろ気を揉んでいたであろう私たちファンも。

みんなよかったね、ここまで一緒に歩いて来て。

てな感じで健と岡田のパートにばっか気が行ってしまうんで、まだ楽曲全体をちゃんと聞けてない気がするな。

もう少し時間が経って気持ちが落ち着いたら、また別の発見や感慨がありそう。じっくり気長に楽しむことにします。