ほんのりへそ曲がり

「アイドルは楽曲だ」という信条のもと、楽曲を中心にV6と関ジャニ∞を語る

"大人"と"子供"の間を~『It's my life/PINEAPPLE』感想・2

ではカップリング2曲について。


■ただこのまま

提供して下さったのは「Penthouse」という社会人バンド、ということでネットでも話題になりました。

withnews.jp


「シティソウル」バンドなんだ…。曲聴いた感じではてっきり「ジャズ」の方向の方たちかと。
うーん音楽ジャンルは難しい。



曲の中身はというと、冒頭でまた雨降ってるじゃん!と思いますがそれは本当に冒頭だけ。
意味合いとしては、雨の日も晴れの日も、どんな時もずっと君を「包み込みたい」という歌。


しかし全体的に歌唱の難易度高そう。

特に冒頭のカミセンパート。
「降りだす」「雨を」「眺めるベットの中」
と、リズムを刻みながら、かつ流れるように歌わなきゃいけないところ。
ここが一番難しそうだけど、カミセンなかなか頑張ってる。


こういうジャジーな楽曲はトニセン兄さんの得意とするところですが、あえて年下チームにも聴かせどころを振ったチャレンジ姿勢は良いと思います(単に初っ端をカミに歌わせたかっただけかもしれませんが)。


歌い出しの岡田のハミング、「uh~」が「ンー」に聴こえてしまうのはご愛嬌ということで(笑)。





■夢のつづき


そのニュースは友人のメールから飛び込んで来ました。


「フラカンがV6にカップリング曲提供したって!」


ええっ!と即座にエイベックス公式サイトに飛ぶと、当時はまだカップリング2曲のうち『夢のつづき』しか試聴できなかった。
作詞作曲者の表記はないが、とりあえず試聴してみる。

そして歌い出しの「飽きるほど歩いた 入り組んだ道を」という詞とメロディですぐにわかった、これがフラカン提供曲だと。


フラカンこと、フラワーカンパニーズ(以下フラカンと略す)は日本のロックバンド。
今年で結成31年。


「知る人ぞ知る」ライブバンドではありますが、正直テレビに頻繁に出るような、メジャーなバンドではありません。
半ミーハー半マニアな私も、友人に教えてもらうまではその存在を知りませんでした。
彼女がカラオケで歌うのを聴いて楽曲が気になり原曲を聴き、一気に惹き付けられました。


まずはボーカル・圭介さんの乾いた声。
乾いた、というか冷静、というか、どんなに叫ぶように歌ってもどこか一点が冷めている、というか、そんな感じの声。
そして率直で切実な歌詞(これもほぼ圭介さんが書いている)。

湿度の低い乾いた声で、身も蓋もないほど率直な歌詞を歌う。
この独特の距離感が、私にはすごく心地いいんです。

ちなみに私の愛唱歌、『消えぞこない』のMVがこちら。


www.youtube.com


まあそういうことで、以前V6に関する日記に、フラカンのトリビュートアルバムのことを取り上げた訳です。


kobaraaki.hatenablog.com


まさかそのフラカンが、V6に楽曲提供してくれるとは。
この時点ではもちろん、それまでも考えたこともありませんでした。


むしろ個人的には、関ジャニ∞に曲を書いて欲しかった。
エイトはバンドでもあるし、“泥くさい”雰囲気がフラカンの楽曲に合うんじゃないかなあ、と思って。
メンバーがフラカン好きを公言したこともあるし*1


よりによってV6に先越されるとは(笑)。
意外中の意外。


なぜかというと、フラカン節全開の、この『夢のつづき』を聴いてみておわかりになると思いますが、フラカンの楽曲の世界観とV6の世界観はまるで違うからです。


V6の世界観はスマート、都会的、スタイリッシュ。まさに「シティポップ」の世界。
片やフラカンは、泥くさいし、切実だし…うーん上手く言葉に出来ない。
歌詞を引用しちゃえ。

歳はとるぜ 汚れてくぜ いつか死ぬぜ 神様はいないぜ

夢がなくて 金がなくて 傘がなくて 靴がなくて
友がなくて 彼女がなくて アテがなくて ツテがなくて
(中略)
負けて負けて 泣けて泣けて もう最低にダメでも
HEY HEY HO 奥歯 かんで かんでGO
(『東京タワー』より)


恐らく一番極端な歌詞を選んでいますが、こういう世界観です。
真に孤独で切実なり。
「どんなにつらくても君がいれば頑張れる」という、ジャニーズ(アイドル)の世界観とは正反対、と言ってもいい。


それでもあえて楽曲提供を依頼したのは、フラワーカンパニーズが結成以来30年間
「メンバーチェンジなし!活動休止なし!」
というバンドだからこそだろう、と思うのです。
30年もの間、同じメンバーで、休止することもなく活動を継続してきた、驚くべきバンドなのです。
そしてそこが唯一、V6との共通点。


え?ご存じですか?雑誌などの各媒体で楽曲提供の経緯とか語られている?
…かも知れないなあ、と思いながらこの日記を書いています。
雑誌等のチェック甘いのバレバレ(笑)。
それでもここに書いておきたかったのは、私がうれしかったからに他なりません。


だって自分が好きなバンドが自分が好きなアイドルに、それもほとんど接点のなかった間柄なのに、楽曲提供してくれたんですよ。
これが本望でなくて何だと言うのだ。



で、全曲聴いてみて、ああ~やっぱりフラカンだ~。と崩れ落ちたのです(うれしくて)。


何の装飾もないシンプルなバンドサウンド、「あーあーあーあー」というフェイクもないストレートなコーラスや、間奏のブルースハープに哀愁すら漂う。
このシングル4曲中でも、いえV6の全楽曲の中でも異色な楽曲。


フラカンに依頼するにしても、フラカン(圭介さん)サイドは作詞作曲だけにして、アレンジはエイベックス側でやって、という手もあったと思うんです。
エイベックス側でアレンジしたら、もっと“V6っぽい”楽曲になっていたでしょう。


でも編曲もフラカンに任せて、完全なフラカン節ーーー切実で、熱と哀愁が背中合わせにあるようなーーーに仕上がった。


正直、V6がフラカン節を歌いこなせているか、私にはわかりません。
キーすらV6に合わせていない気がするし(いつもよりやや高め)。
結果、ものすごく“V6っぽくない”楽曲になりました。


違和感を感じるV6ファンの方もいるかも知れない…という心配もありますが、やはりぐっと来る歌詞。

あぁ 僕は相も変わらず
大人と子供の間を歩いてる


ずばっと来たなあ。


『勤続25年の男たち』なんて一部ではもてはやされているけど、世間一般には「50歳近くになっても『アイドルグループ』なんてやってるの?」という声もある。
むしろそういう人たちの方が多数派なのではないか、と思う。
「アイドルグループ=子供がやるもの」という価値観は、世間には根強い。


V6本人たちも、そういう自覚はあるだろうと思う。
「大人と子供の間」という、いい歳して大人になり切れない、ある意味中途半端な存在だと受け取られているかも知れない、と。


それでも、その覚悟を持って、彼らは『V6』でいる。


作詞の圭介さんは、「大人と子供の間を」歩くことを、ネガティブにもポジティブにも表現していない。
ただただ率直に、綺麗事も並べずずばっと、核心を突いた詞を書いた。


そういう詞を書いてくれたのは、25年間、変わらず実直に進んで来た彼らの“覚悟”を汲み取ってくれたのではないか…というのは思い込みが過ぎるだろうか。
でも私はそう思いたい。



また最後の繰り返しのフレーズがいい(これがまた実にフラカンぽいのだ)。

大人と子供の間を歩いてる
歩いてる 歩いてく 歩いてく


「歩いてる」は現在形、「歩いてく」は未来形だ。


特に最後のダメ押しの「歩いてく」は、イノッチが心なしか得意気に「あーるいてくー」と力強く歌う。


俺たちはこれからも、何を言われてもどう見られても「大人と子供の間」を「歩いてく」よ、という堂々たる宣言だ。
これからもV6でいると。
ファンとしては素直にうれしい。


圭介さんは楽曲中で、V6とファンとの“繋がり”も、
「君と見てきた夢のつづきを 追いかけてる」
「君と見てきた全ての景色を 引き連れてく」
と、あたたかい目線で描いてくれている。



素敵な曲をありがとう圭介さん、フラワーカンパニーズの方々。



この、非常に“V6ぽくない”楽曲を、V6がライブでどう表現するのか。
11月1日の『V6 For the 25th Anniversary』、楽しみにしています。
歌いますよね。(時々入る脅迫モード)




※「フラワーカンパニーズ」の名前でうっかりここに飛んできて、この日記を目にしてしまったフラカンのファンの方々へ。私なりにフラカンへ敬意を払って書いたつもりですが、もし失礼な表現、もしくは的外れな表現があったら申し訳ございません。ご容赦いただければ幸いです。






















…で、ものは相談ですがフラカンさん、関ジャニ∞にも楽曲書いていただけないでしょうか…(小声)。

*1:2017年1月に『キングオブ男!』でMステに出演した時、back numberのボーカル清水さんが「山里さんとカラオケ行くと、山里さんはフラワーカンパニーズさんの曲ばっかり歌う」という話になりました。その時エイトが後ろに座っていて、その後マルちゃんが「僕も『深夜高速』をカラオケで熱唱しながら泣きます」と言った…と記憶していたんだけど…。ビデオで確認したら清水さんの発言は間違いなかったけど、マルちゃんの発言はここではなかった。どこだったっけ…。確かに言ったのに~。『関ジャム』かなあ。