ほんのりへそ曲がり

「アイドルは楽曲だ」という信条のもと、楽曲を中心にV6と関ジャニ∞を語る

今週の週間文春(12/26日号)『考えるヒット』に『友よ』が取り上げられてます。

『友よ』はぜひ、近田春夫さんに聞いてみて欲しかったんです。気に入っていただけたみたいで嬉しい。

 

 

 

「大切なお知らせ」なので目につきやすくタイトルにしましたが、中身は

“シングル『友よ』をぼちぼち冷静に分析してみた・2”

です(笑)。カップリング2曲について。

 

 

まずは全形態収録曲『My Story』。

 

エイトには割と多い、自分たちの出自や自分たちのファンに向けての想い、言うなれば“自分語り”を仕立てた楽曲。

このスタイルの楽曲だと『パズル』、『All is well』、『元気が出るSONG』などが頭に浮かぶが、そのどれもがドラマチックなバラード。

 

ところがこの『My Story』は、大倉くんの詞でメンバー同士の想い、ファンへの想いを切々と訴える“自分語り”のスタイルでありながら、バラードではなく明るいミディアムテンポのアレンジになっている。

 

初めはこのアレンジを、「今までこの傾向の曲はバラードばかりだったから、ちょっと目先を変えてミディアムテンポにしようか」くらいの意味合いだと思っていた。

が、何度も聞いているうちに、ただそれだけの意図ではないのではないか、という気になってきた。

 

この曲の中で彼らは「転んで泥だらけになって」歩いて行く、と歌うが、このアレンジだとなぜか、その足取りが軽く感じられるのだ(バックでポロン、ポロンと鳴るウクレレの音がすごく効いている)。

重い荷物を下ろし、今自分たちに必要なものだけを持って、まるでピクニック*1でもしてるかのように軽やかに「あの場所」へと歩んで行く。

そんなエイトの姿が浮かぶのは、この軽妙なアレンジのためではないか。

 

アレンジャーはお馴染み、“チームエイト”(勝手に命名)の大西省吾さん。

「もうそろそろ、身軽になってもいいんじゃない?」と大西さんに語りかけられているかのようで、エイターとしてはなんだか嬉しい。

いやもしかしたら、ヤスが大西さんにそういうアレンジのリクエストをしたのかも知れないんですけどね。それはそれで、エイトもより前向きになれたんだなって思えて嬉しいけど。

 

 それにしてもこの曲、バラードにしたら絶対“重い”曲になって、聞いている側の受け止め方も違ったと思う。

アレンジひとつで楽曲の持つメッセージも大きく変わってしまうんだな、と、アレンジの重要性を改めて認識する好例となりました。

 

それからもう一つ、気になっていることがあります。

これ「僕らの物語」だから、正確な英訳は“Our Story”ですよね。

なぜタイトルを『My Story』にしたのたっちょん。

 

「“僕らの物語”とは言っているけどあくまで自分の私見だから」という意味かしら、と深読みしたんですが、多分あまり深い意味はないと思われる(笑)。

字面の問題かな、という気もします。『Our Story』より『My Story』の方が“y”がそろっていて見た感じしゃれてますもんね。

 

 

 

もう1曲、通常盤のみ収録の『Faaaaall In Love』。

 

USJの『ハリウッド・ドリーム・ザ・ライド』とコラボ、期間中このコースターに乗るとこの曲をBGMに選べるそうで、USJが遠い東日本の民としてはうらやましい。

 

でもコースター乗れなくても、乗ってる感じを体感出来るメロディ、アレンジ、それに歌詞が良い。

特に臨場感がある歌詞が抜群。

「空に飛び出して行く」って、ジェットコースターってまさにそんな感じですよね。

 

上手いなあ、作詞誰?と歌詞カード見たらいしわたり淳治さん。そりゃ上手いはずだ。

いしわたりさんは他で知って(『銀魂』の主題歌『カートニアゴ』)、さりげないのに印象に残る言葉使いがすごく上手くて、好きな作詞家さんだったので、エイトに関わって下さるようになったのは嬉しかったなあ。

『関ジャム』って本当にありがたい番組です。テレ朝様ありがとう。

今後ともうちの子たちをよろしくお願いいたします(平伏)。

 

少々気になる点もありました。

バッグの音数が少ない『友よ』、『My Story』に比べ、この曲はバッグに音数が多い(フルオケって言うんですかね、こういうのも)ので、以前と比べて歌声の層が薄くなっていることにどうしても気づいてしまう。

まあ2人分の声が減ってしまっているから、仕方ないといえば仕方ないんですが……。ちょっと寂しい。

聞く側としては、慣れるしかないのね。

 

 

 

で、総評としては、“プロの間違いない仕事”を痛感したシングルでした。

 

特に表題曲の『友よ』にはやられた。

当初のエイトの売りであった「歌謡曲」調と今の売りである「バンドサウンド」を融合させたこの曲は、エイトの特性をよく知っていなければ作れない。

 

作詞曲はGAKUさん。『ER』とか『CloveR』とか『前向きスクリーム』等々、ほんっっっとうにお世話になってます(未音源化の『歓喜の舞台』もGAKUさんの手によるものだとか)。

 

大西さんにしてもいしわたりさんにしても、これまでのエイトをよくご存知の方々がプロの腕を駆使して、エイトの新しい出発にふさわしい楽曲を提供して下さった。

それも“新体制”になってすぐに。

前回6人体制になった後もすぐにシングルを出してもらえたし、いろいろありましたが、エイトはまだ恵まれている方なのかも知れないな、としみじみ思います。

 

 

近田さんはGAKUさんや大西さんのような、表舞台には出ないソングライターのことを「職業作家」と表現されていますが、エイトの次回のアルバムはぜひ、こういった「職業作家」さんたちの楽曲をメインにしたものを作って欲しいなあ。などと夢見ています。

 

次、あるかわからないんだけどね…とちょっと不安になったところで『考えるヒット』の掲載ですよ。

ナイスタイミング!ありがとう近田さん!

まだまだ面白いですよエイトは。

期待していて下さい。

私も、期待しています。

 

 

 

 

 

 

 

*1:このイメージは、『関ジャニ∞TV』で、九州ツアー中(大分~長崎)近場の移動はキャンピングカーに乗って行っている、という映像に引っ張られたから。あの映像、本当に楽しそうだったんだよなあ。