ほんのりへそ曲がり

「アイドルは楽曲だ」という信条のもと、楽曲を中心にV6と関ジャニ∞を語る

備忘録としての『ONE MAN STANDING 2019』感想・1~"シンガー"としての坂本昌行

前回、2016年は1回でしたが、今回は5月23日、24日の昼の部、2回見られました。
23日は健ちゃん来てたらしい。


まずはうろ覚えのセットリスト。


『Jupiter』(オーケストラ)
『You're My Only Shinin'Star』
『長い間』
『Squall』
4曲目(失念すみません)
『Good bye day』
6曲目(同上)

『TOP HAT』より『Cheek to Cheek』(オーケストラ)
(ハッティーとのダンス。曲タイトルわからなかった・・・)
『グレイテストショーマン』より『FROM NOW ON』
『ボーイ・フロム・オズ』より『DON’T CRY OUT LOUD(泣かないで)』

『あの日に帰りたい』
『for you・・・』
『Story』
『虹~ヒーロー~』

アンコール
『WAになっておどろう』(オリジナルver.)
『Without you』


(曲順も多少あやしい・・・・・・申し訳ない)


2曲目の『長い間』でもう、「やっぱり坂本さんのミュージカルナンバー聞きたい!」と思ってしまった私。

そんなファン心理も汲んでくれたかのように、もちろん、ミュージカルナンバーも歌い踊ってくれました。

でも、坂本さんがせっかく「アイドルでも、ミュージカル俳優でもなく、シンガーとして」ステージに立っている貴重な時間なのに、ミュージカル俳優という一面だけ楽しんでしまったのはもったいなかったなあ…と反省。
2回目は“シンガー”坂本昌行を観に行くつもりで臨みました。
今回2回機会があって良かった。


で、“シンガー”として聞いてみて。
やっぱり、俳優としてミュージカルを演じる時と通じるものがあるな、と。

“自分”より“作品”ありきの人だから(少なくとも私にはそう見える)、楽曲にのめり込むのではなく、楽曲の外側(もしくは内側?)からその世界観を読み取り、それを丁寧に表現しようとしている。


ただシンガーと役者の最大の違いは、シンガーは1曲、わずか数分でその世界観を表現しなければならない、ということ。
その数分で表現するには今ひとつ、世界観をつかみ切れてないかな、と感じる歌もありました。

いいな、と感じたのは、ボサノバアレンジの『あの日に帰りたい』やR&B調の『Story』。J-POP調の方があまりピンと来なかった。
一応J-POPの歌手なのに、J-POPがハマらないってどういうことだ(笑)。
長くミュージカル楽曲を歌っているから、洋楽の方が肌に合うのかしら。


しかし、彼の"シンガー"としての表現力が最大限に発揮されたのは、なんと言っても『虹~ヒーロー~』。

歌は、聞く人にひと時の幸せを与え、虹のようにはかなく消えて行く。その歌を歌う"シンガー"の存在もまたはかない、けれど歌っているその瞬間に放つ輝きは確かに本物で、力強い。
そんな"シンガー"としての生き様を、1曲で見事に表現してみせました。


この『虹~ヒーロー~』、さだまさしさんが雪村いづみさんの40周年記念に提供した楽曲を、セルフカバーしたものなんですね。

よく知られたJ-POP曲が並んだ今回のセットリストの中で、この曲は正直、さほど知られた楽曲ではない。

でもこの曲ほど、坂本昌行の"シンガー"としての存在感を見せつけてくれる楽曲はなかった。
一体誰がこんなナイスな選曲を?


そこはやはり、前回に続き今回も演出を担当して下さった、菅野こうめいさんではないか、と予想します。

spice.eplus.jp


『Without you』を歌う前に、坂本さんが言った言葉に、ふと引っかかりました。
「今回やっと持ち歌を歌えます。前回持ち歌を歌えなくて、なんで歌わせてもらえないんだろうって思ったんですが・・・・・・」
前回持ち歌を封印したのは坂本さんの意志じゃなかったんだ。それじゃ歌わせなかったのは誰?とこの時思ったんですが、それもやはり菅野さんだったのではないかと。


前回、初のソロコンサートを開くと聞いた時、懸念したのは「持ち歌(V6の歌を含む)を歌うのかどうか」ということでした。

前回は「ミュージカルコンサート」と銘打ってあったのでその可能性は低いとは思いましたが、せっかく「坂本昌行」個人としてコンサートをやるのだから、あまりアイドル色は出して欲しくないなあ、というのが本音だったんです。

結果、それは全くの杞憂に終わり、『ONE MAN STANDING』はミュージカル俳優・坂本昌行のソロコンサートとして、見事に完成しました。

そこには、「坂本昌行」というひとりの"ミュージカル俳優"のコンサートにしよう、という菅野さんの強い思いがあったのか、と今回のインタビュー記事(とリンクしていた前回の時の記事)を見てわかりました。
だからこそ前回は、持ち歌を封印したんじゃないのかな。


今回は同じ坂本昌行でも"シンガー"としての面を見せ、その「歌声を聴かせたい」とおっしゃっている。
『虹~ヒーロー~』はそのコンセプトに適していた1曲として、菅野さんが選んでくれたのではないか、と勝手に予測しています。


それにしてもこのインタビュー記事読むと、菅野さんが「坂本昌行」をアイドルではなく、ひとりの表現者として演出したい、という思いがひしひしと伝わって来ます。
ファンとしてはただもうひたすらにありがたい。


ところで今回のテーマは、「J-POPの中から『女心』を歌った楽曲を中心に歌う」。
ということは、今回はV6の楽曲を歌うだろうな、とは思っていました。でも前回のような心配はありませんでした。

演出が同じ菅野さんでタイトルも同じ『ONE MAN STANDING』だから、何をやってもあの空気感を壊すようなことはないだろう、と。
構成に関しては絶大な信頼を持って観に行きました(坂本さんのノドの具合の方が心配だった(笑))。


果たして。さすが菅野さん。
アンコールで『WAになっておどろう』の原曲を持って来ましたか。

原曲を使うことでアイドル色を抑えてコンサート全体のバランスを取りながらも、ファンが手振りで参加できるサービスも忘れない。その演出の巧みさにはうならせられました(もちろん私もノリノリで手振ってました)。


そして坂本さん待望の持ち歌が『Without you』ですよ。
キタ―!ここに来て『Without you』!楽曲ファンである私、このコンサート中ここが一番テンション上がったかも知れない。

超絶人気曲『コバルトブルー』の影に隠れがちですが、『Without you』も名曲なんですよ。
特に2番のAメロの歌詞、♪ふざけながら飛び降りる・・・のくだりが好きで。


コンサート終わり、原曲をウォークマンでずーっとループして聞きながら帰りました。

でもやはり、コンサートで聞いた『Without you』の方が円熟味があり、失ったものの大きさに気付いた切なさが増し増しだったな・・・・・・。
ああ円盤化、もしくはライブCD化してくれないかな。


いやでも、記録に残らず、ひとときの虹のように消え、それでも時々ふとあの時の声と姿が脳裏に呼び覚まされる。
そんなコンサートであってもいいかな、などとも思うのでした。
(生で観られたからこそ言えるのかも知れませんが。)



まだ続きます。次はミュージカルコーナーの部分。