ほんのりへそ曲がり

「アイドルは楽曲だ」という信条のもと、楽曲を中心にV6と関ジャニ∞を語る

窮鼠はあのチーズケーキを2人で食べたのだろうか。

※映画『窮鼠はチーズの夢を見る』のネタばれあります。

 

劇場通い復活の助走として、まずは映画館に『窮鼠はチーズの夢を見る』を観に行って来ました。

正直まだ、買い物以外の外出に対するためらいはあったのですが、たっちょん(大倉くん)へのエールという意味合いも込めて。

決心しました。

 

 

座席を満席にせず前後左右開けて販売している映画館を選び、マスクの上にさらにフェイスシールドまでつけて感染対策はバッチリ…のはずが、フェイスシールドは映画が始まって数分で外しました。

暗い密閉空間でマスク&フェイスシールドのダブルは、さすがに息苦しかった…。

 

映画そのものがまた、冒頭から息苦しくなるような内容ですからねえ。

 

 

いきなり主人公・恭一(大倉くん)の不倫発覚、それを知らせに来るのがなんか不穏な空気をまとった今ヶ瀬(成田くん)。

ぬらーっと「先輩がどうするか決めてくださぁい」って、怖い、怖いよ今ヶ瀬。

 

しかも恭一が「大切にしたい」と言っていた奥さんは1年も前から不貞をはたらいていて、恭一の不倫には気づかないままあっさりと離婚。

そこにつけ込むようにまたぬらーっと入り込んで来る今ヶ瀬、「キスだけって言っただろ」「どこにキスしてもいいでしょ」……。

 

このあたりから全編今ヶ瀬のペースでぬらーっと進んで行き、ただでさえ恋愛だけの映画には全く興味がない私はもう、たっちょんが出てなければ途中でギブしてるところでした。

 

そこにようやくやって来た起爆剤。

今ヶ瀬に「粘着質のゲイ」と言い放ち、はなっからケンカ腰のナツキ先輩。

来た来た“敵役”。しかもはっきりモノ言うタイプで、ぬらーっとかふらふらとかメソメソな人たちばかりのストーリーを、やっとシャキッとさせてくれる。

 

今ヶ瀬に乗せられてユラユラしてるだけの恭一を呼び出し、「今日お持ち帰りするの、私か今ヶ瀬か、今決めて」。漢らしいぞ、ナツキ先輩。

 

結局"常識に則って"ナツキ先輩を選んだくせに、恭一、役に立たない。

「あいつ(今ヶ瀬)の悲しむ顔を見たくなくて」。

誰も傷つけたくない、自分も傷つきたくない、自分勝手な恭一。

ぼちぼちグーで殴りたくなってくる。

 

観てる側の予想通りにタマキちゃんと仲良くなって婚約までした恭一、「もう終わりにしよう」、「お前はもういらない」とようやく今ヶ瀬を突き放すという、本当の“優しさ”を見せられるようになったのか…と思いきや。

 

恭一宅で何かを感じとったタマキちゃんが泊まらずに帰ったあと。

「今日泊まらないって」と今ヶ瀬を呼び入れる恭一。

またそれを今ヶ瀬が待ってるのよ車の中で。

終わっとらんのかーい!

 

そしてがっつり絡んだ(笑)あと、恭一は今ヶ瀬に

「もう恋愛だけに入れ込む年でもないだろ、俺たち」

「一緒に暮らそう」

お前が言うかー!!

殴らせて。今すぐ恭一をグーで殴らせて。

半年ぶりくらいの映画館の中で、思わず右の拳を力いっぱい握りしめる。

 

しまいにゃ恭一から別れを切り出されたタマキちゃんですら、「彼女が戻って来るまで、側にいてもいいですか?」などと言い出す。

しっかりしろ。みんなしっかりするんだ。

 

 

とにかく恋愛のしょうもなさをこれでもかこれでもかと、終始しつこくねちっこーく描いていく。

しかし登場人物があまりにも皆しょうもない(ナツキ先輩を除く)ので、なんだか皆だんだんと可愛らしい、というか愛おしく思えてくる不思議。

 

婚約までしたのに別れを告げられ、たった一人置いて行かれるタマキ。

唯一純粋な存在に見えた彼女は、実は内縁の妻との間に出来た、世間的には“日陰の身”だった。

自分もそうなってもいい、と思うくらい恭一のことが好きだったのに。

紅茶に手も付けずに、一人ぽつんと残される。

 ただ、今まで煮え切らなかった恭一が、彼女にははっきりと「さよなら」を言えた。

これは恭一にしてみれば、彼女に対する精一杯の優しさだ。

…と今までの顛末を見ている観客にはわかるのだが、彼女にはそれが伝わったのかどうか。切ない。

 

海で「ホントに好きだったのになー!」と叫び、好きでもない相手に抱かれて泣きじゃくる今ヶ瀬。

得体が知れなくて常に不穏な影がつきまとっているような彼の、純粋な「恋心」というものをやっと感じられたシーンだった。

本当に、ただただ好きだったんだね…。

 

 

そしてまたひとりになった恭一は、今ヶ瀬を待つ、と言って映画は終わる。

いやあ、待たれへんと思うよおばさんは。

 

ただ、冒頭で今ヶ瀬と再会した時と、最後にカフェでタマキに別れを告げた時の恭一は、表情や佇まいが明らかに違う。

薄っぺらい影のない男だった恭一に、少し陰影が出て来たように見えた。

今ヶ瀬の長年の想いが、軽くてどこにでもふらふらする恭一の心に、少し“重石”をつけてくれたのかも知れない。

 

 …でも待てないような気がして仕方ないのだが(笑)。

 

 

 

ここから先は“うちのたっちょん”贔屓のだだ漏らしです。

いやあ、いい映画撮ってもらったねえ。

私個人の好みではないのですが(すみません)、非常に雰囲気のある、とりあえず映画好きな方にも評価してもらえる(是非はともかく)映画だったと思います。

 

実際関ジャニ∞や大倉くんのファンではなさそうな方の感想ブログを結構見かけますし(ネタばれ回避で読んでなかったんで、これから読んで回ります)。

 

「濡れ場」が結構がっつりあったんで、ファンとしては内心「うちのたつ君が大変なことに!」と思いながらあわあわしましたけど。

それからほんとに、何度もグーで殴りたくなったけど。

「あんたじゃない」「お前がそう言うなら、そうなんだろ」←ここもグーのポイント。

 

でもそれだけ、恭一という役にはまっていたってことなんじゃないかと。

大倉忠義の俳優のキャリアとして、立派な「代表作」が1つ出来たと思います。

ありがとう行定勲監督、ありがとう成田凌くん。

 

 

 

 

 

 

 ちなみにタイトルは、タマキちゃんが作って来てくれたチーズケーキを、恭一と今ヶ瀬が食べたのかなあ、というところから。

なんか平然と食べてそうなんだよなあ。最低だなキミたち(笑)。